書籍・雑誌

2015年1月 6日 (火)

90分でできる工作集

少し昔話をしようと思う。

私が小学生の頃、時代的には1970年代後半から80年代前半くらいまでは、小学校や地域の図書館には小中学生向けの工作集が沢山あったように思う。いや、その手の工作集は今でも結構あるのだが、大人がガチでハマれそうなレベルのものというのはほとんどない。
そこで、小学生の頃よく借りて読んで(時に作って)いた本の中で、とても小学生レベルでは製作できない(出来たとしてもとても苦労する)レベルの本として思い出したがの表題の「90分でできる工作集」であった。私が特に覚えているのが、ボール紙を使ったクラシックカーのペーパークラフトで、ボール紙製のホイールのスポークまで抜かせる徹底ぶりには小学生ながらに関心していた。試しに一つだけ製作してみたが、90分で完成できるわけもなく(当時、この本に書いてあるもので90分で製作出来たものは一つもない)、何日もかけてナイフを武器にボール紙と格闘しつつ作り上げたときの喜びといったら、プラモ作るのがバカバカしく感じられたくらいである。
今でもこの本は手に入るのだろうか?と調べてみると、既に絶版になっていて新品として入手することは出来ないようだが中古ではそれなりに手に入ることがわかったので、試しに購入したのがこれ。

Kousakusyu02

私の記憶とは表紙が違うのだが、まあいいやと読み始めてみると少し作例が少ない気がする、というより前半のクラシックカーのペーパークラフトが明らかに少ない。これはおかしいとよくよく調べてみると、この本は80年台に改定された版のようだ。
こうなると私の記憶の中にある版が欲しくなる。オークションなどで調べてみるとそれなりに出物があり価格もリーズナブルなので早速購入。

Kousakusyu01

これこれこれ。多分今作っても90分では完成しないであろうペーパークラフトも沢山あって、いま見てもカッコイイ。このくらいのレベルの工作集、というか大人も楽しめるこういう(所謂ハイテクではない)工作集がもっと沢山あるといいと思うのだが、やっぱり売れないんだろうなぁ。
個人的には、このシリーズで室内飛行機やバルプレーンの本もよく読んでいたのでいつか手に入れてみたいと思い始めている。バルプレーンは子供に作らせても楽しそうだ。

2014年5月10日 (土)

プラモ工作法大全「実践作業」編

子供向けにプラモデル工作の指南書を物色していたところ見かけたので「子供向け」という名目で自分向けに買ってしまった本。

ちなみに子供向けに買ったのはこちら。おまえらー、最近面倒臭がってゲート処理やってないだろ、ちゃんとゲート処理しないとカッコ悪いぞー。

さて、本書の帯には「目から鱗が落ちまくり」とあって、確かに他の指南書にはない、というより他の指南書とは異なる独自の理論で構築された工作法が紹介されている。工作法なんてどれも同じだ、と思っている人は一度読んでみると面白いと思う、確かにそういう意味で目からウロコだ。

本書に一貫して流れている哲学は「合理化」「効率化」である。趣味である模型製作に合理化や効率化?という考え方もあろうが、趣味であっても無用な手続きを極力避けたいというのが人情というもの。その点で、限られた時間の中で完成度の高い模型作りを強いられるプロならではの方法論を垣間見ることが出来る。本書は、一見すると技術指南書であるが、実は方法論の指南書、あるいは現在主流の模型製作の方法論にはまだ詰める余地はあることを啓蒙する書であり、その結果として著者が考える理論に基づく技術指南であると私は考えている。

例えば、効率化の重要なポイントとして著者は、できるだけ部品やディテールの修正にかかる時間を減らす→部品やディテールの修正をしない組み立て方を考えるという姿勢を貫いている。この思想が色濃く現れているのが、第3章「ジャンル別工作」である。ここで、艦船、自動車、飛行機、戦車とスケールキットの組み立ての肝となる(と著者が考えている)部分における工作法を紹介しているのだが、これまでのセオリーとは異なる合理化、効率化を軸とする組み立て方が述べられており、私が最も「目からウロコ」を感じたのがここの部分である。既に製作法が確立されており、ここ20年位製作セオリーに大きな変化が見られない飛行機の分野(における「組む」という基本的な部分)でさえ、まだこれだけ考えることが残っていたんだということはまさに「目からウロコ」だった。第3章の戦車模型の最後の部分に「歴史は長いが概念的に停滞していたジャンル」という一言はガンプラの進化の中に身をおいたからこそ出てきた見識であろう。

ジャンルを問わず模型の工作法について興味のある人にはオススメ。激オススメ。

2014年3月17日 (月)

モデルアート増刊「帝国海軍駆逐艦総ざらい」

駆逐艦雪風を作るにあたり、手元の資料が少ないことを痛感していたので興味を持って調べてみた本。amazonの評価はおおむね良好で、資料としても一定の価値がありそうなので購入。

実際に手にしてみると、模型用資料としての価値が高い。「模型用資料として」と断りを入れたのは、この場合は写真だけでなくイラストによって形を表現していること、またそれら情報を模型用パーツと連動させているからである。

戦時中の艦船の資料は時代的にも古く、写真も不鮮明かつ斜めからのアングルが多いので普通の人は正確に形を追うことが難しい、それをイラストに描き直すことで誰にでも見やすくなる。更に、駆逐艦の各武装に関して、写真とイラストだけでなく現在手に入る模型用(1/700)パーツを比較したレビューとともに掲載している。これも、艦船模型を作る側からすると大変ありがたい。装備品パーツのキットは中身を見ることが基本的に出来ないので、装備品パーツを相互に比較することは金銭的に難しく、更にそのうちのどれが実際の装備品に忠実といえるのかという判別はもっと難しい。それが、実際の装備のイラストと、市販されているパーツが写真入りの一覧になっていれば、模型製作のための情報密度が格段に上がる。

これ見ちゃうとファインモールドのナノドレッドシリーズがいかに凄いかが分かる、ピットロードの新パーツシリーズも凄いと分かったので必要に応じて買ってみようかという気分になる。

話はそれるが、本書と似たような資料用というコンセプトで制作されたモデルアート増刊「日本海軍艦艇図面集 戦艦/駆逐艦/小型艦艇」(1989年)と比較すると、本書が単なる資料の枠を超え艦船模型を作る上でのガイド的な役割をしているところに25年の時代の差を感じる。

「~海軍図面集」が戦艦、駆逐艦など幅広い艦種をターゲットとしているだけに、それぞれの艦種に割けるページ数が限られているというハンデもあるのだろうが、キットを作る上で「艦船模型を作るにあたりどのあたりを落とし所にするのか?」という問題意識は1989年当時には殆ど問題視されなかったはずである。

さて、本書の私なりの評価とは別に、私がこの本を買ってよかったと感じたのは、最近の私の課題と同じ、つまり艦船模型製作にあたりどのあたりを落とし所にして作ればいいのか、という問題に対して参考となる記事が掲載されていることである。なあんだ、みんな同じ問題で悩んでいるんだ。

欲を言えば「精密模型を作りたいけど最初からはできないから出来るところから、ステップを踏んで」という初心者向けのアプローチだけでなく、金属素材やエッチングパーツも使えるけど、特に効果のあるところに絞りたい、「できるけど手を抜きたい」という切り口の記事がもっと多くても良かったのではないかと思う(「精密感の程よいバランスを探ってみよう」だけかな)。

とはいえ、元々そこにポイントを置いた本ではないのだからそこに突っ込んでもしょうがない。駆逐艦限定とはいえ模型製作に使える情報が一冊にまとまってる、これだけでも買ってよかったと思える本である。とはいえ、駆逐艦は多分そんなに作らないよなぁ。

2014年3月 6日 (木)

艦船模型製作の教科書

最近艦船模型の分野が熱い。最近といってもここ15年位だから最近というのは大げさだが、この15年位で艦船模型の標準がガラッと変わってしまった。一つにはエッチングパーツに代表される後付パーツの進化と、雑誌の作例で後付パーツをふんだんに使った超精密艦船模型が紹介されるようになったことも大きいと思う。とにかく、私が子供の頃とは艦船模型を取り巻く環境が全く変わってしまったのである。

で、このおもいっきり上がってしまった艦船模型の標準に対し、自分としてはどのあたりを落とし所とした作り方をすればいいのか、趣味らしからぬ考え方とは思うがかけた手間に対する出来上がりの満足度を最大化するにはどの程度作りこめばいいのかという課題を最近は考えている。作り込めるだけ作りこめば良い、というのも立派な回答だが私はそこまで時間に余裕がなくやはり気にならない箇所に関しては手を抜きたい。

そこで、ヒントになりそうな艦船模型の本を買うことにした。今回買ったのはホビージャパンから出ている「艦船模型製作の教科書~艦船模型を一から作ってみよう~」である。入門書のような本だがAmazonでの評判が良く、初級から中級クラスまでをカバーしていそうなところで、丁度この辺りに良いヒントが隠れているような気がしたからである。

ざっと目を通してみて、これは良書、特に初めて艦船模型を作ろうと思う人にとっては非常に良い教科書だと感じた。最初は買ってきたキットをそのまま組むための手順を解説しているのだが、色を塗る順番や細かいパーツの取り扱いなど、初心者なら考えこんでしまうところをうまくフォローしている。そしてなにより、最初の製作解説を読むと、なんだか一度ストレートに組んでみたくなるのだ。あれこれ考えず、かるーく作ってみるのもアリかな、と。

最初の製作記事で制作しているのがタミヤの阿賀野。このキットはリニューアルが済んでいないのでパーツ数は今のWLと比較しても少なく初心者には組み立て易い上に、キット自体の出来が非常に良いので仕上がりもいい。この本では、この阿賀野のキットの仕上がりを原点として、ここからどのようにレベルアップしていくかという話の進め方になっている。

阿賀野の次は、今どきのキットとしてフジミの1/700雪風を取り上げている。フジミのキットはWLで省略したところも出来るだけ再現しようと試みた意欲的なものが多く、精密に仕上がる反面組立にはある程度以上の技量と注意深さが必要になってくる。特にパーツが細かいので、何も考えずにニッパーで切ってしまうとパーツそのものが破壊されることがあるなど、精密なキットならではの問題とその攻略方法を紹介している。

その次はサードパーティー製の精密な装備品パーツを使ったディテールアップ、次はキットの部品そのものに手を入れたディテールアップ、更にその次は金属線を用いてマストを作り直す方法といった具合に作りながらステップアップしていくという構成になっている。作例を写真で見せているのでステップアップの効果が目に見え、効果が目に見えるからやってみようという気にもなるという好循環を生み出すことだろう。

そんなわけで、これから艦船模型を始めてみようという人、あるいは昔作っていたがブランクが長い出戻りモデラーが最近の艦船模型事情を取り入れつつ作ってみたいという人にはオススメ。モチベーションを上げつつテクニックを学ぶことが出来る。

さて、私の課題に対してはどうかというと、直接的な回答には至らない(もとより何かの本を読んでいきなり回答が得られる類の問題でもない)までも至る所にヒントを見つけることが出来た。この本の素組みを原点としてステップアップしながら解説するという本書のスタイルが、作り込みの段階を可視化させる効果となり私の問題の輪郭をハッキリさせることにつながっているようだ。また各作り込み段階ごとに作例があるので、素組みだとちょっと、やはりマストの置き換えはやらないとダメ、とか、逆に煙突の金網は何が何でもエッチングが必須なのか?など、具体的な個別の課題に落とし込めたという効果も大きい。

先に本書は初、中級者向けと書いたが、一通りエッチングパーツ等を使いこなし精密な模型を完成させるスキルを持った上級者であっても、その作り込み度合いに一定の線引をして数をこなしたいという人も少なからずいると思う。そういう密かな(?)悩みを持った上級者にも何かヒントをくれるであろう、そんな一冊でもある。

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