車載動画

2012年3月16日 (金)

車載動画の現状

昨日は、とある動画をきっかけにtwitter上で車載動画を巡るいろいろな考え方がpostされ、その人の好きなもの、考え方、車載動画を始めた時期などによって立ち位置や考え方に思った以上にバリエーションがあると感じた。

現状認識としては

  1. かずさのすけさんの動画により車載動画がブレイクし、新規参入する人が増えた
  2. 酷道走破系の動画が増え、以後限られた酷道というネタを食い尽くすという形で発展し、現在は酷道ネタは枯渇したと言って良い状況。
  3. 酷道走破というネタ自体が既にネタとしての旬をすぎたことと、動画の上がっていない酷道自体がほぼ枯渇したことによるマンネリ化
  4. 3.の状況からの発展として、地元の県道走破の方向に行く、走破系以外の面白さを開拓する、と大きく2つの潮流が混在しているのが現在のありよう。

ただし、以上は四輪の世界の話で、二輪はツーリングや旅の記録としての車載動画のスタイルは依然として活況である。

同じ車載動画であっても、二輪と四輪では車載動画の有り様がかなり異なっている。二輪の人は、基本的にバイクが好き、みんなでツーリングに行くのが好きという層がほとんどで、ある意味価値観が一様である。車載動画の位置づけは、バイクとツーリングの記録、オフレポの延長線としての位置づけなので、ネタは道ではなくツーリングというイベントそのものにある、つまりネタの枯渇という問題は起こらない。

一方、四輪はブレイクした動画が酷道動画だったということもあり、ネタとしての酷道とそれを見せるための動画という構造がこれまでの四輪の車載動画の流れだった。しかし、既にほぼすべての酷道については全線走破動画が投稿されており、新規のネタがない状況にある。(実は、まだ少しだけ残ってる)

ネタとしての酷道資源が枯渇したあたりから車載動画に入ってきた人は、この問題により自覚的で、新たな潮流を起こそうという動機づけがハッキリしている。これは、昨日の話し合いの中で気づいたこと。そして彼らは、「走破系車載こそ王道」という考え方には敏感であり反発を感じているんだろうなという印象を受けた。

一方で、車載動画を投稿するのは他人に見てもらうためなのだから見せ方を工夫すべき、技術を磨くべき、的な物言いには私個人としては反発せざるを得ない。なんにせよ、車載動画は○○であるべき、という議論は視野を狭める結果になるだけで不毛だと思う。私自身は、走破系の車載動画を沢山作ってきた側の人間でもあるが、走破系車載が全てという気はないし、最近は走破系動画は作るのも見るのも飽きてきているので、他の方面にネタを探している状況なのは彼らと同じだと思っている。

今後進む方向については簡単に結論が出せる話ではないが、車にカメラを載せて撮影した動画、という以上の縛りのない車載動画の分野だけに、今後の展開が面白くなりそうだと、この話し合いを通じて感じた。そして、車載動画という楽しみ方が、新しい車の楽しみ方の一つになることを期待したい。

2012年3月 2日 (金)

私が好きな車載動画というと

車載動画ネタが続いたので、今日も車載動画ネタ。

今回は、私のお気に入りの車載動画を紹介する。ただし、誰もが見ているであろう有名なものは除外する、ここでわざわざ紹介する必要ないからね。私は基本的に、動画を見て「そこに行きたい」「その景色を生で見たい」と思えるような動画、ドライブへのモチベーションとなるような動画が好きである。

まず、私のお気に入りの筆頭はこれ。等速垂れ流し動画なんだけど信州北部の遅い春がやってきた、という雰囲気の景色が続くのがいい。BGMのモーツァルトのK.361がこの動画を更に春らしく演出している。BGMが動画の質感を決定づける重要な要素であることを示している動画とも言える。あー、春になったら長野の北の方行きたいなぁ。この動画は、私自身の動画を除けば最も再生回数の多い動画だと思う。

ちなみに、この動画に使用されているモーツァルトのセレナーデ第10番「グラン・パルティータ」K.361の第3楽章は映画「アマデウス」の中で、サリエリがモーツァルトの才能を初めて認めるきっかけとなった曲として描かれている。そのときのサリエリのセリフはこんな感じ

出だしは驚くほど単純だった

バスーンやバセットホルンがぎこちなく響く、さびたアコーディオンのような音

だが突然その上にオーボエの自信に満ちた音色

そしてクラリネットがその音を引き継ぐと甘くとろけるような調べとなる

猿に書ける音楽ではない初めて耳にするような音楽

それは満たされぬせつない思いにあふれていた

まるで神の声を聴くような音楽だった

しかし、サリエリにとって不幸だったのは、この音楽の創造主が直前に見た「下品な生き物」だったことだ。神はなぜかの者にこのような才能を与えたのだろう? そして自分には...

アマデウス = 神の恩寵を受けた者 というテーマを語るための見事な選曲だと思う。

次に紹介するのは、廃道などを巡る動画。この人の動画はどれも面白いけど、伊豆半島シリーズならこれかなー。廃棄されたループ橋を登ってます。ループ橋の一部が崩落している景色は圧巻。BGMの選曲も雰囲気が出ていていい。

その他、夏焼トンネルの動画も面白い。

それから、最近見つけたお気に入りの動画。車載動画ではないけどこういう動画が好きなのよね。

動画では千葉の秘境と呼ばれる場所、所謂T秘境やS秘境と呼ばれる場所だけでなくいろいろな景色を収めている。私も千葉をテーマにこういう動画が作れたらいいなぁ、とそんなことを思わせる動画。

T秘境やS秘境の場所がどこかは私もよく知らない、ネットで調べてもその場所を公開している人はいない(ということにしておく)ためである。それだけ貴重かつ荒らされたくないという思いを訪問者に抱かせる場所なんだろうね。

以上は、動画のネタとなる場所が良いので気に入った、というものだったが、次はBGMが気に入っているという動画を紹介する。先に述べたように、動画のBGMは動画の質感を左右する大きな要素だと思う。それが、自分の趣味と合えばこれは何度も再生したくなるというものだろう。

最初に紹介するのはこれ

車載動画に戸川純を使う人は自分を含めそんなに多くない。諦念プシガンガ、いい曲です。

この曲についても色々思い出がある(どこかで書いたような気もするけど気にしない)。

「諦念プシガンガ」の原曲はA.M.Villafaneというアルゼンチンの作曲家が書いた「El Borrachito」(題名は日本語で「酔っぱらい」と表記されるが、「小さな酔っ払い」というような意味合いらしい)という曲である。今でこそネットで調べればすぐに曲名がわかり、amazonのサイトでは視聴もできちゃうのだが、私が「諦念プシガンガ」の原曲探しをした頃の手がかりと言えば作曲者名と南米の民族音楽調であるということだけだった。まずは南米のフォルクローレのCDを何枚か買って、曲調からアルゼンチン北部のバイレシート(という音楽様式)であるとあたりをつけて、それを頼りに図書館で本を漁りまくってこの作曲家の曲を調べ、音楽関連の博物館(正式な名称忘れたが「民音」と言っていた記憶がある。ただ、「民音」でググって出てくる「民音音楽博物館」とは場所的に違う気がする)に出かけてレコードを聴いて曲名を確定させ、今度はそのCDを手に入れるためにCDショップの民族音楽のコーナーを漁りまくるということをやってようやくCDを手に入れたのだった。そのために3年以上かけたし、フォルクローレのCDも買いまくった。

今は本当にいい時代だと思う。3年半の月日と、何枚かのCD代と交通費を使ってようやく探し当てた回答が数分で出てしまうのだから。でも、同名の曲の多いこと多いこと。

次に紹介する動画もある意味ピンポイントな動画

題名に「ゆとり世代が...」とあるが、OPにソーサリアン(1980年代後半に日本ファルコムから発売されたゲーム)の曲を使ったりとアラフォー世代みたいな選曲がとてもナイス。

私が「これは!」と思ったのはXanadu シナリオII(80年代の中頃に日本ファルコムから発売されたゲーム)の曲がBGMとして使われてるだけでなく、車内のオーディオからも聞こえていること。

Xanadu シナリオIIは、空前の大ヒット作となった前作Xanaduの世界観を拡張すべく、Xanaduでは単純な階層構造だった各フィールドを「地方」と位置づけ、その地方ごとに異なるBGMを用意することで地方色を演出するという斬新なアイデアを実装していた。そのために用意された曲数は前作の数倍にも達した。場面ごとにBGMが変化するのは今のゲームの常識からすれば当たり前だが、当時は記憶容量の関係もあって非常に画期的な試みだったのである。また、Xanadu シナリオIIは古代祐三氏のデビュー作としても知られているが、地方ごとの特徴ある曲の多くは阿部隆人氏によるものだ(ただ、今でもどちらの作かよくわからない曲もある)。

この動画で使用されているのは9面のKlepsydra地方のBGM(作曲は古代祐三氏)と、カーオーディオから流れてくる2つ目のED曲(阿部隆人氏作)である。古代氏のKlepsydraはXanadu シナリオIIの中でも人気の高い曲で、私の友人もこの曲が好きな人が多かった。私は8面のAltelや10面のRilvanや3面のPoigoneのような地方色を感じさせる曲のほうが好きなんですけどね。

ただ、どういうわけかXanaduとXanaduシナリオIIの曲はファルコムからほとんどCD化されておらず、今だに「All Over XANADU」の中古品が高値で取引されているという残念な状況になっている。本当にいい曲ばかりだからCDで出して欲しいものだ、絶対買うから。

と、今日はここまで

2012年2月23日 (木)

ニコニコ動画初期の車載動画におけるアイデア

ニコニコ動画における初期の車載動画を見ているとその中に面白いアイデアを盛り込んだ動画を見つけることができた。ルーツをたどると意外に以前からやっている人はいるんだな、と改めて感じた。

まずはいきなりの変化球で観覧車の動画。私も観覧車の動画を一時期考えていたこともあったが、その時に検索してこの動画を見つけて制作を断念した。こういう発想はなかった、これはいま見ても面白い。

先のエントリーでも紹介したが、ローアングル車載というのも結構以前からやっている人がいたようだ。先のエントリーで紹介したのとは別の動画。

四輪の動画と比較すると、バイクのツーリング動画は旅の記録という色彩が強く、こういった動画を好む人が多いのも確かにある。が、これは今に始まったことではなく昔からこういうスタイルのツーリング記録動画はあったということを改めて知った。この動画はニコニコ動画の車載動画としてはかなり初期であるにもかかわらず非常に上手く編集されており、旅の楽しさが十二分に伝わってくる動画である。これは北海道に行きたくなるわ。

PVのような動画を見つけることもできた。この動画の存在は知っていたが、投稿時期がこれほど以前だったとは思わなかった。とにかくカッコイイ。

それから、最近流行っている実況系車載だが、これも実況系の走りといえるんじゃないかな。

あと、個人的に悔しかった(?)のはこの動画。既にやってた人がいたのか...

私が国道352号線の動画でナビ音声を重ねることを思いついた時には「勝った!」(←何にだよ)と思ったものだが既にやってた人がいたんですね。というわけで、どさくさに紛れて自分の動画の紹介

そんなわけで、昔の動画を改めて探してみると結構面白い。昔の動画の中に何かを発見できるかもしれない。

車載動画の広がり

昨日twitterのTLで車載動画について話題になった。その内容は、映像技術的な切り口からのもので、マンネリに陥ることなく努力が必要という車載動画主に対するエールのようなものだったと私は受け取っている。

それについてはともかく、そのpostをきっかけに「面白いとされている動画」と「私が面白いと感じる動画」の違いについても大いに考えさせられ、久しぶりに自分の考えをまとめてみたくなった。

考えといっても、私の感じ方については既に

http://e-n.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-8e4e.html

に書いており、今でもここに書いてある考えは変わっていない。

ここでは、車載動画が現在のような盛り上がりを見せているのかについて考えてみたいと思う。以前から旅の記録として、サーキットなどの記録及びドラテク研究のためにカメラを車載して撮影している人たちはそれなりにいたはずであるが、それは、一部マニアたちによる細々としたものだった。私もサーキットを走った動画を記録として残しているが、それはあくまでもドラテク研究だったり記録だったり、とにかく編集して他の人に見せるという目的ではなかったのだ。

そんな車載動画が、今日のような盛り上がりを見せるきっかけとなったのは、2007年の8月20日にかずさのすけさんが投稿したこの動画である。私も、知人にこの動画の存在を教えてもらい、この動画を見て車載動画の面白さに気づいたクチである。

それでは、この動画以前の動画とこの動画の何が違うのか、何故この動画が多くの人に支持され、この動画のスタイルを踏襲した動画がいくつも作成され、車載動画という分野が今日のような広がりを得ることになったのか。まずは、それ以前の動画とこの動画の違いについてまとめてみる。

この酷道152号線動画を特徴付けるものとして次のようなものがあげられる

  1. 酷道を走った動画であること
  2. 国道を一本まるまる走った動画であること
  3. 早送り動画であること
  4. BGMをあとづけしていること、あるいはアニソンや東方といった選曲
  5. テロップを使用してその時々の状況を説明していること
  6. テーマを冒頭で説明していること

その他にもあるかもしれない。

結論から言うと、3. 4. 5. のような技巧的なものについてはこの動画以前の動画にも見ることができるが、1. 2.のようなネタの仕入れどころはこれまでにはなかったものである。また、6.もこの動画が始めてだが、これは酷道をネタにするからこそ6.のような説明が必要だったということで、あくまでも結果的なものだと言うのが私の考えである。

それでは、かずさのすけさん以前の動画をいくつか紹介してみよう。

この動画は津軽道をテーマに走った動画である。技術的には、早送りにBGMをつけてところどころテロップで解説を加えている。先のリストにおける3. 4. 5は既にこの動画にて試みられており、更に津軽道というテーマを掲げたところは2.の条件をもクリアしていると言っていいだろう。

BGMにアニソンを使用した動画もいくつか存在する。

この動画は早朝撮影+ローアングルにアニメBGMという合わせ技の動画である。しかも1998年に放映された「lain」のOP曲というマニアックな選曲で動画の雰囲気を盛り上げている。「lain」という作品については私自身色々思うところもあるが、それはとりあえず関係ないのでおいとく。

この動画もルパン三世のOP曲をBGMとして使用している。先の動画もそうだがどういうわけか投稿時期から考えると古い曲だからBGMとして流したとしてもそれでウケるかどうかはともかくアニメ曲をBGMとした動画は存在していたことは確かである。

余談だが、この動画で走っている小熊山というのは「おねがい☆ティーチャー」などで知られる木崎湖の西側にある山で、小熊山にあるパラグライダーの離陸場から見下ろす木崎湖がワンシーンとして使われていたりする聖地でもある。

さて、本題に戻ると、酷道152号線の動画のどこに新規性があったのかということだが、それは、「早送り」「BGM」「テロップによる説明」という技巧面ではなく、酷道を丸々一本走ってしまうというネタ(当時はそんなことをする人は酷道マニアくらいだった)を記録した動画で、冒頭に酷道についての説明を加えることでネタとしての楽しみ方を予め提示していたからこそ視聴者はすんなり楽しむことができるよう工夫した部分にあったのだと私は考えている。

勿論、形式を揃えたからといって面白い動画になるわけではない。BGMに何を使うか、どのタイミングで切り替えるか、テロップで何を言うか、そのタイミングは? 冒頭の説明(私は勝手にこれを「扉」と呼んでる)のデザインはどうするのか?扉は道の説明にするのかアニメのOPのようなスタイルにするのか? そういった積み上げの末に動画が出来上がるのだから作り込みを無視する訳にはいかないのも確かである。しかし、かずさのすけさんの動画に関しては、形式を整えることによって視聴者の支持を得て車載動画の一時代を築いたのだと思う。

2011年6月23日 (木)

久しぶりに動画を投稿しました

こないだツインリンクもてぎの「山野哲也ハンドリングクラブ」に行ってきた、という記事を書きましたが、折角なので撮影した動画を編集して投稿しました。どういう形式にするかは悩んでいましたが、まつすぴ氏が企画された「オススメドライブコース2011」に乗ることにしちゃいました。

レギュレーション上、尺を5分以内に収めなければいけなかったのがなかなか厳しかったですね。でも、おかげでダラダラした感じにはならなかったので、これも怪我の功名かもしれません。尺の指定がなければ南コースまでの動画や完熟ラップの動画を等倍で流したかも知れないので。コースを全力走行した場面以外は、3から5割増しくらいの速度で再生してある箇所が多いのです。ツインリンクもてぎの敷地内が広いので、そのくらいの再生速度でも全然違和感ないんですけどね、それに速度制限が30km/hとなっているので、むやみに飛ばしたりもしないですし。

それにしても、紹介動画は難しいですね。どうやったら興味持ってもらえるのかな、って。色々考える分楽しいんですけどね。

2011年3月30日 (水)

車載用、ブレ対策マウントの実験

頼んだドライブシャフトのブーツが来ない。ディーラーの人によると震災の影響で物流も滞っているから納期がいつとは言えない、と言われてはいたけど、発注から1週間近く経つのに納期に関する連絡もないとは...

で、ネタがないので、車載動画撮影用の手ブレ防止のための実験について書いておく。

以前、ブレ防止を目的としてピッチ軸まわりをフリーにしたマウントを製作した。

関連記事: http://e-n.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-7f2c.html

マウントを製作(実際はそれまでのマウントに手を加えたのだが)したものの、試験撮影の機会があまりなかった(実は前回のオフ会でも少しだけ使ってみた)ので、今回のオフ会の帰り道に使用してみた。

このマウントの狙いは、カメラのピッチ軸周りの動きをフリーにし、重量バランスをとることで、カメラ自体の慣性質量を使って車の動きに左右されにくくする、ということである。そのため、カメラの向きをセンターに戻すためのバネもかなり弱くするなどの工夫をしたのだが、実際の運用試験で、それらの工夫は無用のものだったようだ。

というのも、カメラの電源ケーブルが一種のバネとして機能してしまい、結果、バネ力に対して減衰力が足りない状態になってしまったのである。そのため、カメラの振動のおさまりが悪く、映像にゆれが残ってしまうのだ。

一方で振動の周波数が低くなり、カメラの動きそのものは遅くなったような気がする。このあたり、一度電源ケーブルを使わず、カメラのバッテリーのみで撮影実験してみて、効果を見ようと思う(一番最初にすべきだったな、これ)。

今後は、カメラの電源ケーブルがあることを前提にして適切な減衰力をいかにして与えるかということだが、現在のところゲル材料を使ってみようと考えているが、ゲルってなんとなくだけど振動エネルギーの散逸にはあまり向かないんじゃなかろうか、とか一抹の不安も。

2011年2月20日 (日)

車載動画用、ブレ防止カメラマウントの試作

車載動画を始めるにあたり、最初のハードルになるのがカメラの固定方法である。既に色々な人が色々な方式を試しているし、便利なグッズの存在も知られてきたのでかつてほど高いハードルではなくなりつつあるが、すぐに使えそうな便利グッズは価格も高く(数千円)、マウントの問題は依然として最初の障壁となっている。

カメラマウントで問題になるのは、車やバイクの振動といかにして付き合うかという点であるが、この点に関して、私は「とりあえずカメラは車やバイクにガチガチに固定すべし」と考えている。とにかく、最初は何も考えずにカメラが車に対して動かないくらいガッチリ固定することを考えることが、画質的にいい形で車載動画を始めるコツだと思う。

一方、カメラマウントを意図的に柔らかく動くように製作し、車やバイクの振動の影響を受けにくくするという工夫は十分にアリである。それに関して考察した記事はこちらに書いた

http://e-n.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-680b.html

方針としては、この記事にあるように、重要な車のピッチング方向の揺れのみを逃がすことを考えた。

まずはもともとのマウント

Motomoto1

Xactiを上下に挟み込んで固定すると方式を採用していた。上側の金具は蝶ねじで固定するようになっている。

Motomoto2

今回は、ガチガチに固めたマウントを利用しつつ、そこにピッチ軸周りの回転軸を取付けることにした。そのために、独立してXactiを固定できる金具を新造した。

Shingata1

Xactiをマウントする方式は上下から挟み込むタイプだが、別部品にするのではなく固めのスポンジにXactiを押し付けるようにはめ込んで、最後にカメラ下の三脚用固定ねじで固定する方式とした。写真で見える棒のようなものは、回転軸周りのバランス用おもりを取り付けるための板状部品である。この金具を裏から見ると

Shingata2

裏には、回転軸を固定するために樹脂製の部品がねじ止めされている。

回転軸の部品はこんな感じ。樹脂のブロックとフランジつきのボールベアリング。あとはシャフトとスペーサ、そして固定用のねじである。写真の上にある棒状のものは、バランス調整に使用した鉛の錘である。

Shin_buhin

これを実際に組み立ててみると、こんな感じに。

Zenbu

カメラの後ろから覗き込むとこんな感じに固定されている。カメラを取り付ける前に撮影したので、カメラは写っていないが。

Yokokara2

このマウントのブレ防止の考え方は、完全にバランスの取れた回転体の慣性質量によって空間に対する姿勢を維持するというもので、これによって車が振動によってピッチ軸まわりの姿勢変動が起こったとしてもカメラの姿勢変化は起こらない。

ところが、軸周りにボールベアリングを使用しているとはいえ摩擦力を完全になくすことはできないため、カメラの姿勢は僅かに動く。それ自体はあまり問題にはならないのだが、変化したカメラの姿勢がそのままになってしまうのは困る。車が振動を終えて前を向いたとき、カメラも前方を向いていて欲しいのだ。そこで、振動の吸収を妨げない程度に、ゆるーく復元力(元の位置に戻ろうとする力)を与える必要がある。ステディカムでは、その力を重力に頼っているが、車載動画用のカメラマウントとしてはそれだと困る。そこで、超弾性ロッドを用いたゆるーいばねを使ってみた。

Stabilize

白いプラ板に細い針金を2本接着してみた。ハリガネの上に取り付けた白いものはゲル状の部品で、針金のばね強さを調整する意味合いがある。

この部品を、カメラマウントの下側にとりつける

Stabilize2

カメラを固定するねじを、2本の針金の間に挟みこみ、ねじの位置を常に一定にする、つまりカメラの姿勢をある一定の姿勢に戻す力が働くようにするのだ。戻り位置を調整するため、白いプラ板部品には長穴を開けた。

ただ、折角試作した復元力発生のための仕掛けだが、テスト撮影を始めてみるとXactiの電池の持ちが悪く、結局電源ケーブルをXactiにつけることになってしまい、そうなると一番大きい復元力を発生する部品がXacti用の電源ケーブルということになって、この部品の存在意義がほとんどなくなってしまった。

テスト撮影は既に何度か行っているが、結果がまとまったらまた報告したいと思う。

2011年1月27日 (木)

雪道動画

先日、赤城山に行ったというエントリーを書いたが、その時に撮影していた素材を元に動画を作ってみた。

参考エントリー: http://e-n.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-da89.html

動画名は、そのエントリーの表題をいただいた。つか、元ネタあるんだけど。

最初に投稿した動画の画質が気に入らなかったので、同じ内容でエンコード条件のみを変えた【画質変更版】を後で投稿した。所見の方は、その画質変更版をご覧ください(下のやつ)。

街道見聞録 啓介・・スノーロードを走りこめ 赤城大沼

ただ、ちょっとこの画質が気に入らなくて、【画質変更版】として、次の動画も投稿した。動画の中身は同じだが画質が異なる。

雪道動画って以前からやりたくて、去年に投稿した長野-群馬県道で実現したわけだが、やはり昼の雪道がやってみたくてもう一度チャレンジ。赤城山の大沼の雪景色を楽しんでいただければ幸いです。

今回の動画では、BGMの曲目紹介とリストを省いたが、使用した曲はBE MY BABE(JILLY)、白鳥の湖よりワルツ(P.I.Tchaikovsky)、人形師のワルツ(吸血姫美夕より)、3つのドイツ舞曲 K.605 第3番「そり滑り」(W.A.Mozart)である。私の動画ではずっと曲目をリスト化して動画のエンディングに流していたが、今回は曲の終わりと動画の終わりをあわせたかったこともあって省いてみた。実際にみてみると、ちょっと終わり方が唐突な感じがして、やはりエンディングはあったほうがいいように感じた。

今回の動画から、画面サイズを640×360にしてみた(以前は512×384又は512×288)。画面サイズを大きくすることで多少事情が異なってしまったこともあり、最初の動画のような画質になってしまった。

画面を大きくしたので文字サイズを全体的に小さくしてみたが、これで問題はなさそうだ。もう少し小さくしてもいいかもしれない。画面が大きいとそれだけで迫力が違ってくる。ビットレートの上限が同じで、画面が大きいから画質的にどうかと思ったが、H264エンコード時の画質低下はそれほど問題ではなさそうだ。

何かの参考になるかもしれないので、今回画質変更せざるを得なかった理由について書いておく。

最初の動画は、色味が強すぎてアニメの背景のような絵になってしまった。その原因となったのは、彩度の調整とシャープフィルタ。雪道で色味に欠ける画面になってしまうと考え彩度を強めに設定したが、やややりすぎてしまったようだ。しかしながら、後で彩度調整をしないようエンコードして実際にみたところ、それほど変わらなかったのだ。

そこで、改めてエンコードされた動画と元の動画を比べてみると雰囲気が随分異なる。そこで思い当たるのがシャープフィルタであった。

画面サイズが512×384(又は512×288)の時は、細部の情報量というか、細部がつぶれてぼやけてしまうことを嫌い、シャープフィルタをかけていた。エンコード前の画面サイズが640×480(又は640×360)だったから、シャープフィルタをかけてから画面サイズを縮小していたことになる。今までの設定だと、シャープフィルタをやや強めにかけて、画面サイズを縮小することで丁度いい塩梅になっていたが、今回は画面を縮小しなかったため、強めにかけたシャープフィルタがあだになってしまったのだ。

ところが、シャープフィルタを完全にやめてしまうと、やはり細部の情報量が落ちてしまうように感じた。実際にみた景色のクリアな感じが薄れてしまうのだ。

そこで、シャープフィルタの効き具合を変えるべく、いくつかのパラメータをいじって640×360の動画として丁度いい塩梅のセッティングをしてみた。これで随分良くなったと思うがどうだろう。

それにしても、久しぶりに動画の編集をやったがとても楽しかった。また動画を作ろうと思う。

2011年1月13日 (木)

車載動画におけるブレ防止の考え方

昨日、現在私がやっている車載動画の作り方をまとめてみた。

車載動画の作り方

http://e-n.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-8f02.html

その中で、カメラの固定方法については、下手にブレ防止を考えて中途半端に柔らかい(剛性の低い)マウントを作るくらいなら、ガチガチに固めた方がマシ、と書いた。今日はこれについて私の考えを書いてみようと思う。

まず、ガチガチのマウントについてであるが、車の挙動がゆっくりだと言っても倍速再生すれば見る人には細かな振動として見えるわけで、動画としてはゴリゴリした質感になるのは避けられず、上手に作った免振マウントの動画と比較すればやはりブレ防止の効果はあると言わざるを得ない。

にもかかわらず、私がガチガチのマウントを作ったのは理由がある。まず、カメラの免振というのは、マウントを柔らかく作ればいいというものではないということ。ちゃんと、車の振動の方向を考えて、振動によってカメラがどう動くのかを考えた上で免振したい動き以外を上手に拘束する必要があり、そうしないでただマウントを柔らかくするとカメラのブレがかえって拡大されてしまうのである。つまり、免振マウントって、やろうと思うと結構面倒くさいのである。

車内に固定されたカメラの振動の向き(軸)として考えられるのは全部で6パターン(3軸の振動、3軸の回転振動)ある。

  1. 車の前後方向の振動
  2. 車の左右方向の振動
  3. 車の上下方向の振動
  4. 車の前後方向のゆれ(ピッチング)
  5. 車が左右に倒れこむような方向のゆれ(ローリング)
  6. 車を上から見て回転する方向のゆれ(ヨーイング)

これらのうち、1と6は車の加減速とハンドル操作で向きを変える動きがもっとも大きな起振力となるが、これらに関しては車とガッチリ固定しても問題ない方向である。

2と3は、カメラのブレとしては目に見えやすく、免振マウントにしたくなる振動であることは確かだが、重要性はさほど高くはない。というのも、車載動画は数m以上の比較的遠景を撮影するものであり、カメラ位置が数mm動いたとしても画面はそれほど大きくは動かないからである。また、このような直線運動を綺麗に動かすのは以外に面倒な構造となるので、ここはとりあえず後回しでいい振動である。

で、一番の問題なのは4と5の運動。つまりカメラの向きが変わる動き、カメラの向きが変わる振動である。このカメラの向きが変わる振動は、先の場合とは異なり遠景であってもその影響が大きい。その上たちが悪いことには、マウントの柔らかさはすべてこのカメラの向きが変わる振動に姿を変えて現れるのである。このことが、「中途半端に柔らかく作るならガチガチの方がマシ」と言った一番の理由である。

カメラのマウントは、何も考えずに作ると一番柔らかく変形しやすい部分はカメラの重心からは大きく外れたところにくるはずである。車が振動することで、カメラはこの一番柔らかいところを中心にして動くが、それがカメラ自身の慣性(その場に居続けようとする性質)と作用しあってカメラの向きを変えるというカラクリである。

そこで、免振を考えるのであればまず車の振動によって4と5の振動が誘発されないよう、カメラの重心を通る軸まわり以外には動かないようにガッチリ固定した上で、どのような柔らかさを与えるかを考えなければならない。2と3について考えるのはその後で問題ない。

ここからは経験に基づく私見であるが、問題となる4と5の運動のうち、どちらを優先的に免振すべきかというと4の運動を優先すべきだと思っている。道路の凸凹の大きさが同じだとすれば、トレッド幅とホイールベースの長さの関係から角度的には5の方が大きな動きになるのは確かであるが、それでも4を優先すべきだと思っている。というより、5の動きは動画として必要な動きであるように考えている。

それから、ステディカムをブレ止めに使えるのではないかというアイデアはあるが、うるさいこといえばステディカムそのままでは車載にはむかない。ステディカムはカメラを固定するユニットに重りをつけて、カメラ込みのユニットの重心付近をフロート化して手で持つようにしており、考え方としては先に私が書いたことと同じことをやっている。

ところが問題なのは、カメラを水平に保つために手で持つ場所よりも重心位置は下にあることで、これによって車の加減速、コーナリング時の横Gによってカメラがゆっくりと傾くはずである。また、坂道でカメラの向きが水平になるのは車載動画としては困ってしまう。そこで、重力に頼らずにゆっくりと車の姿勢にカメラの向きが追随するための工夫が必要になる。

と、そんなことを考えて、ピッチング(4の運動)方向をフローティング化したマウントを試作してみたんだが...その新型マウントの紹介とテスト結果についてはまた別の機会に。

車載動画の作り方

最近、車載カメラで撮ったデータがたまってきていて動画のネタは沢山あるのだが、編集作業をしている時間がなかなか取れなくて新作はすっかりご無沙汰である。去年もけっきょく1シリーズしか投稿できなかったという体たらく。今年は本格的な雪道動画を撮って投稿したいと思っているが、どうなることやら。

で、とりあえずそれなりに経験を積んだので、現時点で私がどんな道具を使って車載動画を作っているかの紹介をしてみようと思う。

車載動画に必要なのがカメラである。以前はたまたま手持ちのCACIO EXILIM EX-P505を使用していたが、画質の点で不満があったため、現在はXactiのHD-700を使用している。

カメラを車に固定する方法だが、EX-P505のときは助手席のサンバイザーからカメラをぶら下げるような金具を自作して使用した。ところが、これだとブレが大きすぎるので後付でカメラがぶれないように固定するための追加金具を使用してある程度の効果を得たが十分とはいえなかった。そこで、カメラをHD-700にするときに新しい金具を作り直した。

下の写真がEX-P505とその固定金具(最終形態)

P505

そしてこれが、HD700用の固定金具。HD700と一緒に写っている写真がなかった...

Bracket

それまでの教訓で、マウントを免震構造にして細かい振動を吸収することを下手に考えて中途半端なものを作るよりも、車の挙動自体はゆっくりだからマウントはガチガチにした方が画質が上がる(マウントをフロートタイプにするのであれば、ガチガチのマウントに必要な方向のみフリーに動くようなものでないと意味がない)と結論付けて、HD700用のマウントはフロントガラスに3つの吸盤で固定する方法をとった。写真のようなデザインになったのは、Xactiシリーズのガングリップスタイルをうまく固定する方法が限られていたことが大きな理由である。

このマウントと、HD700の画質と、それからニコニコ動画側のビットレートや容量の制限が緩くなったことが組み合わさって、それまでのEX-P505とは比較にならないくらいシャープな動画を投稿できるようになった。HD700の設定は、HD-HQ画質、フォーカス固定、その他はオートとしている。HD-HQ画質だと、8GBのSDに2時間以上の録画が可能であり、画質的には十分だと感じている。

現時点で、HD700に感じている不満は、まず暗い場所での撮影が苦手だということ。夜の動画はほとんど何も映らない。また、視野が少し狭いこと、もう少しワイドだとありがたい。

撮影した動画はMP4(H264)で、そのままでは私の編集ソフト(Premiere Elements 4(以後PE4))では直接読み込めない(HD700にはバンドル版のPremiere Elements 3が入っているがそれは使ってない)ので、一度Aviutlで無圧縮AVIに変換する。その時に、サイズを640x360にリサイズし、またシャープフィルタを少しかけてエッジを際立たせるよう加工している。

H264から無圧縮AVIではなく、可逆圧縮形式であるHuffyuvの方が作業用のハードディスク容量的にはありがたいのだが、そうするとPE4がレンダリングの時にフリーズする可能性が高くなるように思えたので無圧縮AVIを使うようにしている。

編集はPE4のみで行い、音声はwavファイルで、動画は無圧縮AVI、サイズは640x360(あるいは640x480)でレンダリングを行う。サイズをニコニコ動画の(当時の)標準サイズである512x288(あるいは512x384)にしないのはzoomeへの投稿を考えてのことである。そうそう、動画はニコニコ動画のアップロード上限が100MB、ビットレートの上限が1Mbpsなので、ビットレートをほぼマックスに使って100MBに収まるよう、動画の長さは13分+αくらいが最大になるように編集している。

レンダリングが終わったら、Aviutlでレンダリングした動画と音声を別々に読み込んでH264のプラグインを使用してエンコードを行う。このとき、どういうわけか音声と動画のタイミングがずれるので音声を0.2secほど早めて再生する設定としている。このときにシャープフィルタを再びかけるようにし、場合によっては彩度を上げる補正を行うが、H264は色の劣化が少ないので彩度の補正はあまり必要ないようだ。

H264の設定だが、デフォルトだと静止画が少し粗いように思えたのでQPの下限値を1としている。その他、いくつか数値をいじっているが正直効果があるのかは微妙。一時期同じ動画について設定を変えて色々試してみて現在の設定値に落ち着いているが、現在はビットレートの制限が緩いのでそんな設定をする必要もないだろうと思う。私は、ビットレート900kbps、音声はAAC-HE 96kbps、3パスと設定している。

Aviutilの入手方法や、H264のプラグインの見つけ方、インストール方法などはニコニコ動画のエンコードまとめサイトなどを参考にしたので、その辺を参考にすればいいとおもう。

最後に、彩度の補正とシャープフィルタについて。彩度の補正は、もともとニコニコ動画がVP6にしか対応していなかった頃に始めたもので、VP6はエンコードの際に彩度、とくに赤系が大きく損なわれてしまったので、それを補うために補正していたのだ。ところが、ニコニコ動画がH264に対応したため、エンコード前に大きな彩度の補正をする必要がなくなった。

シャープフィルタをかけるのは、模型の塗装的な考え方を取り入れてみた結果である。人の目は、普段よく目にするスケールのものに対してはエッジを強調するよう自動的に補正をかけているが、近くに見える小さなものに関してはそれほど補正がかからない(ように思える)。また、大きなものには陰影がくっきりでるが、それをスケールダウンしたものに対しては、実物と同じようなクッキリした陰影はでない。そんなことがあるので、模型を作るときは、実物をただスケールダウンするのではなく、それっぽく見えるようにするために塗装段階で実物にでるはずの陰影やエッジの強調を行うのである。

動画の場合は必ずしも模型の場合と同じではないが、ニコニコ動画のように小さい画面で動画を見るときと、リサイズ前の大きい動画を見るときとでは漠然とした違和感を覚えており、それがなんとなく情報量が落ちた感じにあると考えた。そのため、動画の画面サイズを小さくするときにシャープフィルタを使ってエッジを強調してみたところ、小さい動画でも満足のいく画質が得られた。そこで今ではエンコード時にシャープフィルタを入れるようにしている。ただ、ニコニコ動画も640x360の画面サイズに対応したので、このサイズで投稿するときはシャープフィルターも少し加減した方がいいのではないかと思う。

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