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2011年1月13日 (木)

車載動画におけるブレ防止の考え方

昨日、現在私がやっている車載動画の作り方をまとめてみた。

車載動画の作り方

http://e-n.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-8f02.html

その中で、カメラの固定方法については、下手にブレ防止を考えて中途半端に柔らかい(剛性の低い)マウントを作るくらいなら、ガチガチに固めた方がマシ、と書いた。今日はこれについて私の考えを書いてみようと思う。

まず、ガチガチのマウントについてであるが、車の挙動がゆっくりだと言っても倍速再生すれば見る人には細かな振動として見えるわけで、動画としてはゴリゴリした質感になるのは避けられず、上手に作った免振マウントの動画と比較すればやはりブレ防止の効果はあると言わざるを得ない。

にもかかわらず、私がガチガチのマウントを作ったのは理由がある。まず、カメラの免振というのは、マウントを柔らかく作ればいいというものではないということ。ちゃんと、車の振動の方向を考えて、振動によってカメラがどう動くのかを考えた上で免振したい動き以外を上手に拘束する必要があり、そうしないでただマウントを柔らかくするとカメラのブレがかえって拡大されてしまうのである。つまり、免振マウントって、やろうと思うと結構面倒くさいのである。

車内に固定されたカメラの振動の向き(軸)として考えられるのは全部で6パターン(3軸の振動、3軸の回転振動)ある。

  1. 車の前後方向の振動
  2. 車の左右方向の振動
  3. 車の上下方向の振動
  4. 車の前後方向のゆれ(ピッチング)
  5. 車が左右に倒れこむような方向のゆれ(ローリング)
  6. 車を上から見て回転する方向のゆれ(ヨーイング)

これらのうち、1と6は車の加減速とハンドル操作で向きを変える動きがもっとも大きな起振力となるが、これらに関しては車とガッチリ固定しても問題ない方向である。

2と3は、カメラのブレとしては目に見えやすく、免振マウントにしたくなる振動であることは確かだが、重要性はさほど高くはない。というのも、車載動画は数m以上の比較的遠景を撮影するものであり、カメラ位置が数mm動いたとしても画面はそれほど大きくは動かないからである。また、このような直線運動を綺麗に動かすのは以外に面倒な構造となるので、ここはとりあえず後回しでいい振動である。

で、一番の問題なのは4と5の運動。つまりカメラの向きが変わる動き、カメラの向きが変わる振動である。このカメラの向きが変わる振動は、先の場合とは異なり遠景であってもその影響が大きい。その上たちが悪いことには、マウントの柔らかさはすべてこのカメラの向きが変わる振動に姿を変えて現れるのである。このことが、「中途半端に柔らかく作るならガチガチの方がマシ」と言った一番の理由である。

カメラのマウントは、何も考えずに作ると一番柔らかく変形しやすい部分はカメラの重心からは大きく外れたところにくるはずである。車が振動することで、カメラはこの一番柔らかいところを中心にして動くが、それがカメラ自身の慣性(その場に居続けようとする性質)と作用しあってカメラの向きを変えるというカラクリである。

そこで、免振を考えるのであればまず車の振動によって4と5の振動が誘発されないよう、カメラの重心を通る軸まわり以外には動かないようにガッチリ固定した上で、どのような柔らかさを与えるかを考えなければならない。2と3について考えるのはその後で問題ない。

ここからは経験に基づく私見であるが、問題となる4と5の運動のうち、どちらを優先的に免振すべきかというと4の運動を優先すべきだと思っている。道路の凸凹の大きさが同じだとすれば、トレッド幅とホイールベースの長さの関係から角度的には5の方が大きな動きになるのは確かであるが、それでも4を優先すべきだと思っている。というより、5の動きは動画として必要な動きであるように考えている。

それから、ステディカムをブレ止めに使えるのではないかというアイデアはあるが、うるさいこといえばステディカムそのままでは車載にはむかない。ステディカムはカメラを固定するユニットに重りをつけて、カメラ込みのユニットの重心付近をフロート化して手で持つようにしており、考え方としては先に私が書いたことと同じことをやっている。

ところが問題なのは、カメラを水平に保つために手で持つ場所よりも重心位置は下にあることで、これによって車の加減速、コーナリング時の横Gによってカメラがゆっくりと傾くはずである。また、坂道でカメラの向きが水平になるのは車載動画としては困ってしまう。そこで、重力に頼らずにゆっくりと車の姿勢にカメラの向きが追随するための工夫が必要になる。

と、そんなことを考えて、ピッチング(4の運動)方向をフローティング化したマウントを試作してみたんだが...その新型マウントの紹介とテスト結果についてはまた別の機会に。

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