« 国道488号線動画第5章 | トップページ | 青い花畑 »

2009年5月14日 (木)

テオ・ヤンセン展

道や旅行の話題ではありませんが、今回は今年の2月から4月ごろまで日比谷で行われていた「テオ・ヤンセン展」をネタにしたいと思います。

テオ・ヤンセンというのはオランダのスケベニンゲン(あえてこの表記)生まれの芸術家で、物理を学んでいたというのが芸術家としては珍しいと思います。彼の目標は創造神になること、というとひどく大げさですが、彼の作品がこの先もずっと動き続けることを願った、そういう作品作りをしています。風の力を使って動くからくり(=人工生物)、それが彼の現在の作品のコンセプトで、ビーチアニマルと呼んでいます。

Kyoryu640

写真で見るとよくわからないのですが、プラスチックのパイプを切ったり曲げたりして脚構造や胴体の構造、空気圧シリンダなどの機関部を構築した、えらく手の込んだ巨大なからくりです。しかも、風の力でポンプ(これもプラスチックチューブから製作)を動かし、尻尾の方に並べたペットボトルに空気圧の形でエネルギを蓄積、その力を使って移動するというすごいオブジェなのです。全長は10m以上はあるでしょうか、とにかくすごい仕事です。

展示会場内で実際に動いているのを見ることができたのは、この最新作(アニマリス・モデュラリウス)と、アニマリス・オルディスという帆を持った歩行機械。

アニマリス・モデュラリウスがデモンストレーションの形でしか見られないのに対し、アニマリス・オルディスはいつでも手押しが可能だというので随分と観察させてもらった。(下の写真はアニマリス・ジェネティクスの静展示)。

Ordis640

テオ・ヤンセンのビーチアニマルの脚構造は、胴体に対して地面についている足の先端が(ほぼ)直線になる(擬似)直線機構を応用したもので、ビーチアニマルを手で押すと、あたかも車輪がついているかのように胴体の上下動なく滑らかに動きます。受動的な脚機構に帆をつけただけのものが風力で歩くのは、こういう脚機構の工夫の恩恵があるからなんですね。

ビーチアニマルの面白さは、こういう構造と機構を構成するパーツのほとんどがプラスチックのパイプを加工して作られているところにもあります。生物の体はすべてたんぱく質でできているのだからビーチアニマルも単一の材料で作るべきだ、という工学的には無意味ともとれるこだわりからテオ・ヤンセンはこういう作り方をしているわけですが、単一の材料にこだわった結果がこの質感であり、この面白さなわけです。

こだわりその1、クランク

Kurank640

こだわりその2、空圧シリンダ

Cylinder640

プラスチックパイプという材料にこだわった彼も、一時的に木材に浮気(彼自身がパンフの中にそう書いている)していました。下にあるのは、木材で製作した時期の作品、アニマリス・リノセロス・リグナタスの写真。

Kyusaku2

また、パイプを使い始めた最初期は、部品同士の結合をテープのみに頼ったため接合部の剛性が足りず立つことすらできなかったそうです。それでも、パイプを切って、一つ一つの部品をテープで固定し、ここまで作り上げるその意思は並じゃないと感じさせるに十分な迫力です。

Saisyoki640

展示会場の一角は、テオ・ヤンセンの工房の雰囲気を伝えるための展示があり、そこには彼のスケッチや、彼がパイプを使って加工するときに使用したジグが並べてありました。その手作り感、スケッチの美しさはそれだけでご飯3杯モノです。

Jigu640

色々な意味で楽しく、忘れていたものに気づかせてもらい、更に元気を補充することができた、そんな展示会でした。

« 国道488号線動画第5章 | トップページ | 青い花畑 »

趣味」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/504245/45013605

この記事へのトラックバック一覧です: テオ・ヤンセン展:

« 国道488号線動画第5章 | トップページ | 青い花畑 »